はるか昔。闇の冥王サウロンは世界を滅ぼす魔力を秘めたひとつの指輪を作り出した。指輪の力に支配された中つ国では一人の勇者がサウロンの指を切り落とし、国を悪から救った。それから数千年の時を経た中つ国第3世紀。ある時、指輪がホビット族の青年フロドの手に渡る。しかし、指輪を取り戻そうとするサウロンの部下が迫っていた。世界を守るためには指輪をオロドルイン山の火口、“滅びの亀裂”に投げ込み破壊するしか方法はない。そこでフロドを中心とする9人の仲間が結成され、彼らは“滅びの亀裂”目指し、遥かなる冒険の旅に出るのだった……。
allcinema ONLINEより。
以降のファンタジー作品のほとんどに影響を与えたと言っても言い過ぎではない児童向けファンタジー小説を原作にした作品。
原作小説は日本ではそれぞれが上下巻で構成された3部作になっていて、全6冊+追補版で発行されています。
自分が読んだのは高校生の頃で、翻訳が児童向けにありがちな『~でした』、『~ました』が続くという口に出したら読みにくい文章だった印象が強く残っています。もっとも、そういう形式で書かれた作品なので、しょうがないんですけどね。
版を重ねて直っているかは謎ですが、現代なら翻訳しないような部分も作者の意向を変な尊重の仕方をしているため、無理やり翻訳していたり、翻訳者が勝手に内容を変えてたりするので意味がわからない部分があると思います。
よく話題になるアラゴルンを『ストライダー』のままにするのではなく、『馳夫』にしたという話ではなく、岩波版のゴラムの言葉『いとしいしと』が、『僕チン』や『愛シ子ちゃん』になってるとか、前日譚の【ホビットの冒険】の『ナンタルチア』とか、『サーラバイバイ』てなんなんだって話です。
そういう意味では小説を読むより、映画を観た方が本来の内容に近い意味合いで内容を理解出来るというレアケースな作品に仕上がっています。
ただし、劇場版で誤訳女王の戸田翻訳で観た人は、吹き替え版とは異なり、意味合いが違うものが多かったようで、勘違いしてしまった人も多そうです。特にボロミアに「正気に戻って!」というシーンで、「嘘つき!」っていうのはニュアンスが違い過ぎると思います。
内容に関しては、完全に王道のファンタジー世界で、好奇心旺盛なホビットが凄まじい力を持った指輪を破壊するための旅に出るというもの。
面白いのがホビットは大人でも子供みたいな身長で、考え方も比較的平和な反面、結構やりたい放題と子供のように描かれていること。
助けとなるはずの人間やエルフは指輪の誘惑のせいもあって、欲に負けてしまったり、ドワーフは指輪の誘惑とは関係なく、エルフとの確執や、本来の気質らしい頑固さで面倒くさい。
まるで、
大人の事情に巻き込まれた子供
を描いた作品のようです。この辺り、児童文学らしいですね。子供っぽいキャラクターが主人公になってることで、共感しやすくなってるんでしょう。
しかも、重責を背負わされたフロドを可哀想というか、申し訳ないという表情で見つめる旅の仲間たちの演技も素晴らしい。
そういった視点でも描かれていることで、大人も十分に楽しめる作品だと思います。ただ、問題は収録時間の長さ。
約3時間あり、DVDでは2枚組。途中でディスク交換です。さすがに子供の集中は続かないでしょうね。ビックリしたのがエンドロール。なんと20分。さすがに笑いが込み上げました。
見どころとしては、ガンダルフとサルマンの決別シーン。59歳VS75歳とかだと思うんですが、結構体張ってます。いまの日本で言えば、小日向文世VSミッキー・カーチスみたいなもんです。
そんなふたりが【ハリー・ポッター】の魔法使いバトル同様、吹っ飛ばし合うという荒っぽさ。海外の俳優さんは頑張りますね。こういうのってわざわざ代役使ってたりするんですかね?
他にも坑道を進んでいる最中や、山の中での襲撃シーンは、たった数人に何十、何百もの怪物が襲ってくるんですが、それを迎え撃とうとするアラゴルンやレゴラスがかっこいい。
特にエルフで弓の達人なレゴラスが矢で敵を刺すシーンを観ていると、【ウォーキング・デッド】でダリルがクロスボウの矢でゾンビを倒すのはこれの影響かと思わされます。
それまで普通に戦っていて、矢で敵を刺すというシーンを観た覚えがないんですよね。普通にすることなんだか。
3部作の1作目なので状況説明がメインですが、出会いから別れまでが描かれているので、1つの作品としても充分楽しめるんじゃないかと思います。
ファンタジー好きなら押さえておくべき作品でしょう。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★★★
(難点は時間の長さ)
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