【やわらかい手】

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世間的にはあまり推奨されないであろう映画ですが、あえて自分は勧めます。良いです。洋画にしては珍しく人情モノに仕上がっているし、愛する者のためなら穢れることすらも厭わないという女性の強さが表現し尽くされていました。

それではざっとあらすじ。

ロンドン郊外に住む未亡人のマギーは、これまで平凡な人生を歩んできた。最愛の孫オリーが海外で手術をすれば助かることを知るが、息子夫婦には費用を工面する余力はない。かと言って、仕事を探すにも中年の専業主婦であるマギーでは雇い口などあるはずもなかった。

そんなマギーが迷い込んだ歓楽街ソーホー地区で、『ウェイトレス募集・高給』の貼り紙が目に入る。しかし、その店の『ウェイトレス』というのは、特殊な『ウェイトレス』であった。なんとその店は、壁越しに男性を手でイカせる風俗店だったのである。

店のオーナーのミキは迷い込んだ中年の未亡人にあきれながらも、そのなめらかな手に素質を見出し、雇うことにする。一度は逃げ出そうとしたマギーだったが、愛するオリーのため、覚悟を決めた。

仕事を始めたマギーは、そのなめらかな手ですぐに店のNo.1に登りつめ、マギーの源氏名である『イリーナ・パーム(手のひらイリーナ)』の名はソーホー中に広まっていく。だが、売れっ子になってもマギーは焦るばかりだった。オリーの病状が進んでおり、手術の期限が迫っていたのである。

マギー役のマリアンヌ・フェイスフルはぱっと見、「誰? ただのおばさんじゃん」という印象ですが、実は貴族出身で気品もあり、人気のあった女性。一時はミック・ジャガーの恋人だった時期もあるようです。ただ、そんなスター生活から転落、ドラッグ中毒、ホームレス生活などを乗り越えてきた彼女の演技や存在感は、近年の女優の中でも群を抜いていると思います。正直、息子夫婦の演技が軽く感じてしまうくらいで、日本で言えば主役を食ってしまうことのある野際陽子のような存在と言えるかもしれません。

また、あらすじは本当にあらく書いているので省いていますが、マギーが仕事を続けていくことや、仕事の内容を知ることで、周囲の反応が変わっていきます。その辺りは日本とあまり変わらないんだなって感じがしました。肉親でも何でもない人たちは偏見に満ちた好奇の目を向けるんだなっていう。実際、自分が女性で子供や孫が難病だったら風俗で働けるかとか、妻や母親が風俗で働くことに抵抗がないかと言われても、実際にそうなってみないとわかりません。ただ、実際にそれを実行する人がいたら、本当に凄い女性だと思います。

よく映画や小説等で恋人や子供を助けるために犠牲になるっていうのがありますね。あれはあれで凄いことだとは思うんですが、自分的にはあんまり感動はしません。ですが、この映画のように死ぬのではなく、プライドを捨てるというのは生半可じゃないと思うんです。犠牲になって死ぬのはそれっきりですが、プライドを捨てて何かをするというのは持続します。

現実社会でも、家族との生活のために嫌な相手にも頭を下げるサラリーマンのお父さんたちとか、本当に賞賛に値するんじゃないかと。いや、それで家計をやりくりしているお母さんたちも偉いですが、ここではそれはそれということで。

本当に大人向けの映画ですが、愛する人に何が出来るかを考えたい時に観て欲しい1本です。

オススメ度(10段階)……★★★★★★★★
(子供には勧めませんが、大人には観て欲しい1本)

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