アフリカからフランスに来て10年になるサンバ(オマール・シー)は、料理人になるべく頑張っていた。
ある日、ビザの更新に気が付かなかったことが原因で国外退去命令を受けて拘束されてしまう。
サンバのためにやってきた移民協力ボランティアのアリス(シャルロット・ゲンズブール)は、以前燃え尽き症候群によって大企業を辞めたことがあったが、厳しい状況でも明るいサンバに興味を持ち……。
シネマトゥデイより。
フランスの移民問題を描いた映画。移民問題を描いたとは言っても、ドキュメンタリーなわけではなく、社会的状況を描いたドラマ。
予告編を見た感じだと、【最強のふたり】のオマール・シー演じるサンバが問題を笑い飛ばし、周囲に幸せを引き寄せるような作品なのかと思ってました。
ところが、実際に観てみると重い。もう本当に
色々と重い。
その上、サンバも問題を笑い飛ばすような明るい性格ではなく、どちらかというとクズ寄り。
まあ、男だし、外国人なので、多少は女好きとか、気が多くてもある程度は愛嬌でしょう。
でも、現実にサンバのような男がいたら、どちらかというと仲良くなりたくありません。
もっとも、ヒロインと言っていいのかわかりませんが、サンバとやりあいながらも打ち解けていくアリスの方も難しいタイプ。
シャルロット・ゲンズブールのおばさん化にも驚きですが、燃え尽き症候群と言うよりも、感情の起伏の激しい思い込みの強いキャラクター。
クズ男とヒステリックなおばさんの違法行為の上に成り立つ恋愛って、なかなか感情移入が難しいものですね。
これがまた、虐げられてきた人々の革命さなかの恋愛とか、クライムものでの恋愛だったら印象も違うんでしょうけど。
何かやらかしても、そんな事言ってもしょうがないじゃないかと言い訳して、反省しない人たちにしか見えないんですよね。
特に日本の場合、移民が日雇いの仕事をもらう様子があいりん地区等の光景に似ているため、ネガティブな印象を受けやすいというのもあるのかもしれません。
本当なら社会的弱者同志の愛を感じるドラマなんだろうなとは思うんですけどね。とりあえず、ジャケットのような優しい気持ちになれるような映画ではありませんでした。
そういえば、このレビューを書くに当たって調べていたら、オマール・シーって【X-MEN:フューチャー&パスト】でビショップを演じてたんですね。全然印象違くって気づかなかった。
オススメ度(10段階)……★★★★★★
(映画としてはつまらないけど、移民問題に興味があるなら見ておいて損はない映画。)
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