【チョコレート】

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ハンクはアメリカ南部の刑務所で死刑囚棟の看守を長年務めてきた男。

彼の父も同じ看守を務め、今は息子のソニーが同じ道を歩み始めたところだった。

ハンクは父譲りの人種差別主義者だったが、息子のソニーは心の優しい人間で、そんなハンクの考え方に疑問を感じていた。

黒人の囚人ローレンス・マスグローヴの処刑の日、ハンクとソニーが電気椅子に向かうローレンスに付き添うことになったが、慣れないソニーは執行の直前に取り乱してしまった。

刑の執行後、自らの職務に厳格なハンクはそんなソニーの態度を厳しく叱責してしまう……。

allcinema ONLINEより。

今回は解釈が難しい作品なので、ネタバレありです。

父バックから黒人差別主義を受け継いでいたハンクは、息子のソニーが連れてきた黒人の子供たちを銃で脅して返すような男で、息子のソニーにもその主義を受け継がせようとしています。

ハンクとソニーは看守をしていて、ローレンスという男を電気椅子に送ることになるんですが、ローレンスと仲良くなっていたせいもあるのか、慣れないソニーは嘔吐してしまう。

死刑執行後、情けないソニーに暴行するハンクでしたが、翌日、ソニーに銃をつき付けられ屈服。ですが、ソニーはハンクに自分のことが憎いんだろと尋ねながら、自分はハンクを愛していたと告げ、自分に向かって引き金を引きます。

ソニーを埋葬する場で父バックがソニーの事を軟弱な奴だったというのに対し、文句があるなら埋めてからにしろと言うのがターニングポイントな気がします。

要は自分の息子のことを悪く言うなということなんでしょうが、それまでは父の言うことは正しいと思っていたハンクが、父の考えに疑念を持ち始めたシーンだと思います。

一方、夫のローレンスが死刑になり、肥満児なのに甘いものをやめられない息子を持ちながら、いまにも家を立ち退かされそうという黒人女性レティシア。

自分はこんなに頑張っているのにという意識から、チョコレートバーを隠れて食べる息子タイレルに暴力を振るうような母親です。

必死なのはわかるし、タイレルも知恵遅れなのか、単に身体の大きい子供なのかわからないんですが、父親のいない寂しさからとはいえ、チョコレート食べ過ぎなので、母親の言動も仕方ないような気がします。やり過ぎだけど。

そんなタイレルが雨の中ひき逃げされ、看守を辞め、偶然通りがかったハンクが病院に運ぶも死亡。

何故かハンクがレティシアを家まで送ることに。この時点ではまだハンクもレティシアの夫が死刑執行したローレンスだとは知りません。

レティシアが落ち着くまで家にいることにしたハンクでしたが、彼女は壊れたプレイたーみたいに同じ事ばかり話していたんですが、夫と息子が書いた絵を見せながら、思い出してしまったようで取り乱し始めます。

絵を見せられたハンクは、夫が死刑になったという話と合わせて、レティシアの夫は自分たちが死刑執行したローレンスだと気付いた様子。

いたたまれない気持ちになったのか、どうして欲しいかを尋ねると、レティシアが超ビッチ化します。

私はこれまで頑張ってきたんだから、気持ちよくして欲しいというので、褒め称えて欲しいということなのかと観ていたら、もう一度女にして欲しいとか言いながらハンクを求め始める始末。

いやいや、夫の方は10年以上収監されて死刑になったとはいえ、息子死んだばかりですよ。

抱きしめて欲しいとかならまだしも、いくらなんでも生々しいわ。ただ、

ハル・ベリーの躊躇ない脱ぎっぷりは凄いな

と思いましたが。

邦題とジャンル的にはラブストーリーなので、バレンタインに観るのもオススメはするんですが、内容を知らずに観た場合は、ちょっと変な雰囲気になりそうです。

初めておうちで映画をと思ったら、序盤でいきなり娼婦とセックス、ハル・ベリーとはむさぼり合うなんて感じなので、大爆死しそうなので注意してください。

その後、ハンクが実は自分がローレンスの死刑を執行したひとりと告げて、知らなかったとはいえ、そんな男と寝た事で怒るとかいう流れかと思ったら、そんな事もなく。

よくしてくれるハンクを受け入れるレティシア。とても、黒人差別をしていた男とは思えません。序盤で追い返していた黒人一家とも和解したりして、徐々に変わっていきます。

もっとも、ハンクの留守中に訪れたレティシアとバックのやりとりで揉めたり、レティシアが家賃滞納で立ち退かされたりと紆余曲折な展開を迎えてはいるんですけどね。

どうも、このバックとレティシアのやりとりの後、父バックと話したハンクは、ソニーが自分の言動をどう感じていたかを理解したような印象を受けました。

結局、ソニーの部屋にあったローレンスの描いた絵から、レティシアもハンクが自分をローレンスの妻だと知っていたと気付きくという形でバレるんですけどね。

ここから先はオープンエンドな作品なので完全に推測でしかないですが、ハンクはバック同様、黒人である自分を突っ込む対象としか見ておらず、ローレンスの妻だと知っていて楽しんでいたんだと思い、悔しんだんじゃないかと思ったんじゃないかと。

でも、アイスを買って帰ってきたハンクの姿を見ても怒りが湧かず、茫然とすることしか出来ない。多分、それはよくしてくれるのに、見返りを求めてこないハンクのことを知っているからなんでしょう。

ラストのチョコレートアイスを与えながら、「うまくやっていける」と告げるハンクは未来に希望を持っていますが、レティシアの方は黒人の自分は微笑みながら受け入れるしかないという現実を感じてしまったということなのかなと。

純粋なハッピーエンドならもうちょっとリアクションがあってもいいと思うし、墓を映す必要はないと思うんですよね。

また、原題の『Monster’s Ball』というのは、死刑囚が刑を執行される前に行われる晩餐のことですが、アメリカでは死刑囚の最後の晩餐はリクエストが出来るんだとか。

そう考えると、チョコレートアイスはレティシアにとっての『Monster’s Ball』であり、息子を死なせた罪、夫の死刑を執行した男と寝た罪、また、それらを知りながらも、生きていくためにはハンクと暮らしていくしかないレティシアは心を殺すしかないということなんでしょう。

その心を殺すという行為が死刑執行を意味しているような気がします。

ちなみにこの映画で、ハル・ベリーが第74回アカデミー賞の主演女優賞を受賞しているんですが、非白人で初の受賞というのが皮肉というか、面白いですね。

オススメ度(10段階)……★★★★★★★
(作品として面白いけど、関係の浅いカップルだとリスクを伴うので。)

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