高校3年生の小坂れい(間宮祥太朗)は、退屈な学校生活を送っている。
ある日彼は、教室でハチの死骸を埋葬しているクラスメートの鹿野なな(桜井日奈子)を見掛ける。
リストカットを繰り返し「死にたい」が口癖の割には、死んだハチの命を重んじる彼女に小坂は興味を示し、鹿野も小坂に心を開く。
やがて二人にとって一緒にいることが当たり前になる。
シネマトゥデイより。
公開当時、SNSでの評価が高くて気になっていた作品。
結論から書くと、イメージと違った。
とは言ってもつまらなかったわけでなく、てっきりビジュアルの彼と彼女がメインのストーリーだと思ってました。
実際に見てみると、3組6人の青春群像劇で、誰かがメインという感じではありません。
表題でもある殺さない彼である小坂と死なない彼女である鹿野のストーリー。
愛を求め続けているきゃぴ子と、ストイックな地味子の友情。
ちなみに地味子の本名は宮定澄子ですが、きゃぴ子は本名です。
地味子の弟の宮定八千代に好きと言い続ける大和撫子のストーリー。
その
3つが様々な形で交差
しています。
訳あって1年留年している小坂は絡んでくる女子よりも、ゴミ箱から蜂を拾って埋めようとする鹿野に興味を抱きます。
始めは口癖のように殺すという小坂を毛嫌いする鹿野ですが、自分を受け入れてくれない人たちと違う小坂の言動に徐々に心を開いていく。
すぐに殺すというくせに優しい小坂と、死ぬと言って死なない鹿野の関係が変化していくのが面白い。
次にかわいいお姫様扱いをされたいきゃぴ子は彼氏と別れると、勝手に地味子の部屋で落ち込むというのを繰り返しては、地味子に飽きれられる始末、
きゃぴ子は家庭の環境から人に愛されることに執着し、相手の顔色をうかがう割に、振られるのは嫌だから先に別れを切り出すというタイプ。
当然、そんなことを繰り返していれば、周囲には煙たがられるし、愛してると言うことを求めるため、男にも重いと感じられるんですよね。
地味子の方はそんなきゃぴ子を気にかけながら、弟の八千代にも気をかけている様子。
このふたりのパートは、本当に女子の友情みたいなパートで、クライマックスのクラスメイトが関わってくる辺りからが見どころ。
正直、よくわからなかったのが八千代と撫子のパート。
姉同様ストイックな八千代は、撫子がことある毎に好きと言ってきても、受け入れるだけで撫子のことを好きにならないというやり取りを繰り返すばかり。
当の撫子も八千代のことを好きだと言っているだけで、付き合いたいなんて言ってないと言い出す。
でも、友情的なLIKEではなく、異性としてのLOVEではある様子。
本当にずっとこのやりとりを繰り返しているんですが、時間が経つにつれ、八千代の心境に変化が訪れる。
しかし、八千代は撫子との会話で、撫子は撫子を好きじゃない八千代が好きであって、撫子を好きな八千代は好きじゃないと思っていて、ジレンマに陥っていくという展開。。
まあ、どこから見ても撫子は八千代がつきあいたいなんて言ってないと言ってはいるものの、それを認めると好きと言い続けられないから認めないとしか思えないんですけどね。
言葉通りに受け取る八千代のピュアさ加減に青春の甘酸っぱさを感じます。
きゃぴ子と地味子は基本的に変化がありませんが、小坂と鹿野、八千代と撫子は心境の変化が面白かったですね。
また、3つのストーリーのつながりが、そことそこがつながってるんだっていうのが意外だったのも良い感じでした。
ちょっとモヤッとしたのは、4つ目のストーリーと言っていいと思うのですが、ある殺人鬼がいて、動画に顔も映っているのに終了時点で捕まってないの? ってなることくらいですかね。
原作見たことないなと思ったら、作風が想像していたのと違い4コマで、何度か見かけたことがあったことが一番の驚きでした。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★
(クライマックスの展開が好みの分かれるところ。)
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