高校の同級生・山内桜良(浜辺美波)がひそかにつづる闘病日記「共病文庫」を偶然見つけた僕(北村匠海)は、彼女が膵臓(すいぞう)の病気で余命わずかなことを知り、一緒に過ごすようになる。
彼女の言葉をきっかけに母校の教師となった僕(小栗旬)は、桜良が亡くなってから12年後、教え子と会話をしていた際に、桜良と過ごした数か月を思い出す。
一方、結婚を控えた桜良の親友・恭子(北川景子)も、桜良との日々を思い返し……。
シネマトゥデイより。
ホラー作品の割合が高い当ブログですが、さすがにタイトルでカニバル映画と間違えたわけではありません。
純粋なラブストーリーです。
ストーリーは大人になって、母校に教師として赴任している春樹が、図書委員の生徒栗山に昔話として語る形式で進みます。
自分は原作未読ですが、原作では大人になった春樹視点はないらしいので、原作派の人たちは違和感があるかも。
そもそも、原作では春樹は『僕』として扱われるので、名前がなかなか出てこないらしいです。
逆に作中、全然名前が出てこないガム君が意外と大事な役割をこなしていて、その辺りは面白い、
ひょんなことから人気者のクラスメイト山内桜良の秘密を知ってしまった志賀春樹。
同級生の秘密を知ったにもかかわらず、春樹がまったく変わらない態度をしめすのに興味を持った桜良は彼につきまとい始めます。
この桜良を演じているのが浜辺美波なんですが、とても後日、別作品で「賭け狂いましょう?」とか言うとは思えないくらい爽やかな可愛さ。
こんな娘にまとわりつかれたら、普通の男子だったら悪い気がしないと思うんですが、春樹の態度は一向に変わらない。
むしろ、桜良の親友の恭子をはじめ、クラスメイトたちの方が混乱している様子。、
このくだりでガム君は春樹に興味を持ち、ゲームのサポートキャラのように、要所要所で「ガムいる?」って聞いてくるようになります。
春樹は変に達観していて、事あるごとに仲良くしようとしてくる桜良にそっけない態度。
おかげで反感を買った相手にいじめにあったりも。
それでも、自分を振り回す桜良を拒絶することもなく、なんだかんだで相手をする春樹。
一見、聖人かとも思ってしまいますが、春樹は自分を卑下しているため、自分よりも他の人と過ごした方がいいと考えちゃってるんですね。
もちろん、桜良も秘密を家族と春樹以外、親友にすら伝えず、死への恐怖を見せないのですが、不意に春樹の前では見せることが。
しかし、春樹もただの高校生なので、言葉の重さに応えきれず。
度々交わされる
『生きる』という意味についてのやりとり。
不意打ちだったり、死が迫る人間が普段隠している言葉と考えると、心にダイレクトに響きます。
特に春樹のように他人と関わらないようにしていて、感情を表に出さないようにしていて、彼に共感する人たちや、身近な死を経験した人だと泣くと思います。
自分は涙腺が弱くなっていることもあり、何度か泣いてしまい、自宅視聴で良かったと思いました。
似たような作品も少なくないので、耐性がある人たちにはいまさらと思われるかもしれませんが、割と想像を外してくるので、見て損はないんじゃないでしょうか。
特にこの作品の面白さは、表面的なラブストーリーの他に、ふたりだけの狭い世界で過ごしてきた春樹が、ある出来事をきっかけに感情を無理に抑えなくなり、世界と関わろうとする部分でもあると思います。
その場面ですら相手に確認をとるのが春樹らしいとも感じましたが。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★★★★
(現代のパートのしか出てこない小栗旬の存在感が凄い。)
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