ナポリの沖合いに浮かぶ小さな島。そこへチリからイタリアに亡命してきた詩人パブロ・ネルーダが滞在する事になった。漁師になるのを望んでいない青年マリオは、世界中から送られてくるパブロへの郵便を届けるためだけの配達人の職につく。配達を続ける内に、年の差も越えて次第に友情を育んでいく二人。詩の素晴らしさを知ったマリオは、詩の隠喩についても教わる。やがてマリオは食堂で働くベアトリーチェという娘に一目惚れし、彼女に詩を送ろうとするのだが……。
シネマトゥデイより。
ここまで好みがはっきりと別れるのも珍しいと思う作品。多分、好きな人はどっぷりはまり、そうでない人は途中で寝てしまうと思う。比喩でなく。
ただ、個人的には将来への希望が見えない現代、夢や希望もなく、面倒臭いとまともに働きたがらない若い人たちに見て欲しい。
別に説教臭い映画というわけではなく、働くことが美徳と言っている映画でもない。かといって、刹那的に生きることを推奨しているわけでもない。
まともに仕事のないような島で、『国外追放された詩人』という刺激を得るが、自らは詩人のような表現を出来ないと思っている。
だけど、表現というのは綺麗に伝えることが大事ではないと思うんですよ。歌にしろ、絵画にしろ、文章にしろ、綺麗でも薄っぺらかったり、子供のような絵でも何かが伝わってきたりするもんじゃないかと。
作品中でも詩人のネルーダが妻に捧げた詩を、マリオが惚れたベアトリーチェに捧げたことで、彼女の親代わりの叔母に抗議されます。でも、マリオは
「詩は書いた人間のものではなく、
必要としている人間のものだ」
といい、大事なのは作ってしまっておくことじゃなく、伝えるために使うことだと感じさせます。もちろん、盗作やパクリに使うという無粋な話じゃないですよ。
やがて、マリオは様々なものに囲まれていることに気づき、好きとは思ってなかった島のことを見直すと、表現しようとし始める。
全体的に暗い色調で、内容も暗いため、つまらないと思われるかもしれないけど、一度は観てみて欲しい。
心臓移植の手術を延期して撮影し、クランクアップ12時間後になくなった主演のマッシモ・トロイージは最後まで何かを残したかったんでしょうね。
オススメ度(10段階)……★★★★★★
(好みが別れるので、難しいところ)
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コメント
ケビン・コスナーの「ポスト・マン」かと思いました~~(笑)
予告篇の感じだとあまり得意な分野じゃなさそうですが、
「詩は書いた人間のものではなく、
必要としている人間のものだ」
って言葉にかなり打たれました!!
詩に限らず、形あるもの全て、きっとそうなのですよね~
>Arinkoさん
いつもコメントありがとうございます。
>「ポスト・マン」
意味としては一緒で、郵便配達人ですが、
さすがにSFではありませんw
詩人が出てくる映画はちょこちょこあります
が、それぞれが深いんですよね。特に
本作は史実をアレンジしているものなので、
特に言葉に重みを感じます。