【ディア・ドクター】

村でただ一人の医師、伊野(笑福亭鶴瓶)が失踪(しっそう)する。村人たちに全幅の信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知るものは誰一人としていなかった。事件前、伊野は一人暮らしの未亡人、かづ子(八千草薫)を診療していた。かづ子は次第に伊野に心を開き始めていたが、そんな折に例の失踪(しっそう)事件が起き……。

シネマトゥデイより。

単純に観れば、違法でもそれによって救われる人たちがいればいいじゃないかというヒューマンドラマ。

ただ、やはりそこには『違法』という壁があるし、根本に『救われるなら』という前提がある。

確かに伊野の人柄に救われている人たちはいると思う。でも、それはあくまで心が救われているだけであって、生命が救われているわけではない。

『ブラック・ジャック』ではない

のである。

伊野はあくまで人柄で救っているだけで、医療の知識はまるでない。村民のひとりが貧血で倒れた際には、瑛太演じる研修医の相馬が疑問を呈するレベルのことすら知らない。

つまり、一見すれば、医者のいない村での善意に溢れる素晴らしい行為に思えるが、その実、救えたはずの人間を救えなくしている可能性もあるのだ。

作品中では余貴美子演じる看護師の大竹が事情を知っているらしく、フォローをしてはいるが、所詮、偽物は偽物に過ぎない。

幸運にも結果的に救えているだけで、伊野も、大竹も限界を感じてきてはいるものの、後には引けない状態に追い詰められていた。

もちろん、『救われるなら』法を犯す道を選ぶ善意というのもあるとは思う。でも、暴走した善意は法によって、線を引くべきだと思う。

そうでないと、善意に基づけば、なんでもしていいかのようになり、結果、無法と化してしまう。

この映画は、感動系のヒューマンドラマの皮をかぶった、『善意にともなう無免許医療』の是非について問題提起している、そう考えさせられる作品でした。

オススメ度(10段階)……★★★★★★★★
(笑福亭鶴瓶は本当に演技が上手いと思う)

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