【フルメタルジャケット】


ベトナム戦争に送られた若い海兵たちを訓練生時代、ベトナム時代に分けて描いた作品。

あらすじとしては1行で充分なんですが、内容は濃いです。スタンリー・キューブリックの作品って【シャイニング】くらいしか理解しづらかったんですが、リアルにあった現実や、異常な日常に身を置くことで崩れていく精神が描かれていて、それが本当に怖い。

オカルト的な要素や、現実的にあり得ない状況(出口のない密室や迷路、見たことのない生物が支配する島とか)で精神が崩壊するような作品は多いですが、やっぱりどこか他人事という視点でしか観れないと思うんですよ。それが過去に起きたことであり、これから現実になりえるので、想像出来てしまう恐怖。

訓練生時代では、【テキサスチェーンソー】の家長だったR・リー・アーメイ演じるハートマン軍曹が、口汚いしごきで訓練生たちを追い込んでいく様は、会社で新人をいびり倒す上司のよう。平和ボケしている日本では、追い込まれたら辞めますとも言わずバックレたりもするんでしょうが、軍隊じゃそうもいかないわけで、追い込まれながらも訓練を続けていきます。

実際、会社でも出来ない社員を追い込んで、一人前にするケースがあるので良し悪しは皆さんの判断にお任せするとして、グズ扱いされていた訓練生も射撃の才能を開花させ、別人のように成長してました。ただ、そこで色んな何かを捨ててきてしまったらしく、事件が起こります。

そして、ベトナム時代に移り、助けに来たはずの人種に襲われ、日々敵を殺すだけの日常を送っている兵士たちの疲弊と、精神的なストレスが描かれていきます。ですが、後半は多少戦争による歪みが描かれているものの、普通の戦争映画と代わり映えしません。

そう考えると、この映画の凄さはやっぱり訓練生時代のハートマン軍曹のしごきなんだろうなって思います。このハートマン軍曹を演じるR・リー・アーメイは元々軍人で、本来の役者に演技指導に来た際の罵詈雑言振りを気に入ったキューブリックに気に入られて、急遽ハートマン軍曹役になったんだとか。

そのため、彼の台詞は意訳ではなく、直訳が翻訳の条件になっているそうです。おかげで超訳の女王戸田奈津子が柔らかく翻訳したのは却下され、原田眞人の翻訳が採用されています。アドリブを許さないキューブリックがアドリブを許す数少ない俳優ですから、それぐらいの対応にはなるんでしょうね。ちなみに現在の訓練ではもっと激しい罵詈雑言が飛ぶらしい。

オススメ度(10段階)……★★★★★★★
(小難しくないし、グロくもないので普通に考えさせられる映画)

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